言語の話って面白い
皆さまこんにちは、Shuです。実は私言語系の話を知るのが好きでよく勉強をするのですが、その中で最近見つけた「ガーンデンパス現象」ついて話をして行こうかなと思います。
①:ガーデンパス現象って何?
+ガーデンパス現象の例
②:ガーデンパス現象が起こる理由
③:中国語にもガーデンパス文はあるのか?
それでは楽しい言語の話をしていきましょう!
ガーデンパス現象って何?
ガーデンパス現象とは、語順に沿って文処理を進めていくことで誤った意味理解に導かれてしまい、適切な手がかりとなる語が出現するとそれまでの解釈の誤りに気づき、解釈の修正や読み返しを行ったりすること。
ガーデンパス現象はおそらく文処理研究とか構文解析とかの分野で出てくると思うのですが、果てさてなんのことやら?って感じですね。ここで例をまず一つ見てみましょう。皆さんはすんなり読めましたか?
例1:太郎が花子に手紙を渡した学生を殴った。
さていかがでしょうか?おそらく多くの方が「太郎が花子に手紙を渡した」までまず第一段階解釈を行ったと思いますが、次の「学生を殴った」という文が出てきた瞬間に、「ちょっと待てよ?」と立ち止まって文章全体の意味を再考したと思います。
これが冒頭で述べた
①:語順に沿って文処理を進めていくことで誤った意味理解に導かれてしまい
②:適切な手がかりとなる語が出現するとそれまでの解釈の誤りに気づき
③:解釈の修正や読み返しを行ったりする
つまりガーデンパス現象なのです。
例1を正しく解釈すれば「太郎が学生を殴った」→「その学生は花子に手紙を渡した」と解釈できます。
他にも日本語や英語でも例を見てみましょう。
例2:The woman sent flowers was an old friend of mine.
例3:Taro gave the boy the cat bit a bandage.
例4:鈴木は公園で美奈子を呼んだタクシーに乗せた。
全て正しく解釈できましたか?よ〜く考えてどの部分が主語で、どの部分が述語で、どこがどこを修飾しているのか“再考”してみてくださいね。
ガーデンパス現象が起こる理由
ではなぜ私たちの文理解のプロセスの中でこのような現象が起こるのでしょうか?
その理由は私たちが文章を理解する際の処理方法にあります。まずは以下の図をご覧ください。

私たちの頭の中では、言語情報を認知して理解するまでにかなりざっくりと言うと以下のようなプロセスを辿ります。(ざっくりすぎて有識者の方に怒られそう)
①:読んだり聞いたり、見たりして情報を頭に入れる。
②:言葉として認識できるように脳内で処理する。
③:処理した言葉を文法・意味的に処理する。
②の脳内で処理するとは、与えられた情報を脳内で認識可能な形式にすること(これを符号化と言います)であり、更には音読などを行う際にはまず発音のために音韻情報に変換する音韻符号化と言う工程が不可欠になります。
ですから発音の仕方や文字の読み方を知らない言葉は①の段階で情報として脳内に入れても、②③の段階で処理する術がないため結果として“言語(言葉)”として認識できないと言う状態になることを意味します。
そういえば僕の友人が“中国語をまだ言語として認識できていない気がする〜。宇宙人の言葉みたいなw”と言っていたのを思い出しますが、もしかしたらこう言うプロセスと関わりがあると言えるのかもしれませんね。
さて本題ですがなぜ「ガーデンパス現象」が起こるのか?それは私たちが②と③を同時多発的に行っているからです。
門田修平先生も著書「音読で外国語話せるようになる科学」の中で以下のように述べています。
(ガーデンパス現象が起こる理由は)読み手の頭の中では、文の処理が部分的に完了した段階でその都度すぐに、文全体の文法・意味構造を仮定しながら読み進めているのです。
つまり私たちの脳内では文全体を読み切ってから文法・意味理解に入るのではなく、その都度その都度文法・意味理解が行われるため、ガーデンパス文のような複雑な文構造を持つ文に出会うと、途中までで文全体の意味を勝手に推測してしまい、完璧な文理解に必要な手がかりが出現した際に困惑し再考する必要があると判断すると言うことです。(以下図参照)

上では『学生を殴った』と言う完璧な文理解のためのキーワードにまだ出会ってないため、単純に「太郎が花子に手紙を渡した」と解釈してしまっているわけですが、『学生を殴った』と言うキーワードが出現したとき途端読み手は困惑し、『太郎が学生を殴った』と言う正しい文理解のために再考するわけです。
いやはやガーデンパス現象というものを調べることで言語をどう認識し処理していくのかということまで知ることができましたね。
中国語にもガーデンパス文はあるのか?
ではこのガーデンパス文は中国語にも存在するのでしょうか?
結論から言うとあります。なので最後は中国語にもガーデンパス文がちゃんと存在することを確認して終わりにしたいと思います。
例1:王经理喜欢喝葡萄酒的服务员。
例2:我不喜欢巧克力面包才合我胃口。
例3:我们学习文件的内容更丰富了。
*例2は点『,』をつけて「我不喜欢巧克力、面包才合我胃口。」と訳せるかということですね。僕はずっと「巧克力面包」だっと思ってましたw
さていかがだったでしょうか?かなりマニアックな内容になってしまいましたが皆さんが『面白い!』と思ってくれたら嬉しいです。それではまた次回お会いしましょう!
下次再见,拜拜!