今回は“一点儿”と“有点儿”の違いについて
日本語の「少し~」という言い方は中国語にはいくつかあります。
その代表的なものが「一点儿と有点儿」です。
一会儿,一些など他にも「少し」を表す表現はありますが今回は同じ「点儿」がついた“一点儿”と“有点儿”についてその違いを見ていきましょう。
一点儿の使い方

まずこの「一点儿」を使う上で知っておきたいのは実はこの単語、「比」を用いた比較構文で「少し」を表す際に使うということです。是非お手持ちの参考書やインターネットで比較構文について調べてみてください。必ずこの「 一点儿 」が出てきます。
このブログでも例文をいくつか挙げておきます。まずは比較構文でこの「 一点儿 」を使うことを認識してください。
・ 她家比我家远一点儿 。
tā jiā bǐ wǒ jiā yuǎn yì diǎn ér
彼女の家は私の家より少し遠い。
・ 她好像比以前瘦了一点
tā hǎo xiàng bǐ yǐ qián shòu le yì diǎn
彼女は以前より少しやせたようだ。
・北京比东京冷一点儿。
běi jīng bǐ dōng jīng lěng yì diǎn ér
北京は東京より少し寒い。
さて、これを踏まえたうえで「 一点儿 」を見ていきましょう。
まず基本的な使い方は
・動詞や形容詞の後ろに置く
ということです。
先ほどの例でも、すべて「 远一点儿 」「 瘦了一点 」「 冷一点儿 」など、遠い・痩せた・寒いの後ろに来ていますね。
これは比較した上での「少し」という意味をはらんでいるのです。
つまり、例えば
・ 这张桌子贵一点儿
zhè zhāng zhuō zǐ guì yì diǎn ér
この机は少し(値段が)高い
こちらの文は比較構文ではないですが裏には「別の机は安いんだけど、それと比較するとこの机は少し高いなあ」という意味が文法的には含まれています。
・ 我会说一点儿中文
zhè zhāng zhuō zǐ guì yì diǎn ér
私は中国語が少し話せる。
こちらも「別の人(誰かはどうでもいい)と比較して、私は中国語が少ししか話せません」と言っています。
確かに、私たちは「~があまり(少し)上手じゃない」と言うとき無意識に上手な誰かを想っているはずでよね。上手い対象がいなければ、そもそも自分が劣っているとは思わないわけですから。
さて「 一点儿 」の使い方についてまとめます。
- 動詞・形容詞 + 一点儿
- 比較構文で「少し」を表すときに使う(相対副詞)
- 比較の文でなくても比較の意味が裏に隠れている
- 品詞は<数詞“一”+不定量詞“点儿”>の数量詞
有点儿の使い方

さて、次は「有点儿」の使い方についてみていきましょう。
“有点儿”は比較の差ではなく,話し手にとって好ましくないことについて主観的に「少し~」という言い方で,形容詞や動詞の前に置きます。
もともとは“有”+“一点儿”ですが,すでに“有点儿”で一語化し,品詞も副詞として扱います。
まず抑えていただきたいのは「話し手にとってマイナスな意味の“少し”には 有点儿 を使う」ということです。
そして 一点儿 は動詞・形容詞の後ろに置きましたが、 有点儿 は前に置きます。
- 有点儿 + 動詞・形容詞
- 動詞・形容詞 + 一点儿
これはなぜだかわかりますか?
そうです、 有点儿 は品詞が「副詞」として扱われるためです。副詞は一般に用言(動詞や形容詞)を修飾しますので前に置きます。
さて、この点を踏まえていくつか例を見ていきましょう。
・ 今天有点儿热
jīn tiān yǒu diǎn ér rè
今日は少し熱いな
・ 他对我的态度有点儿冷淡
tā duì wǒ de tài dù yǒu diǎn ér lěng dàn
彼の私に対する態度は少し冷たい。
・ 这个菜有点儿辣
zhè gè cài yǒu diǎn ér là
この料理は少し辛いな。
さて、「 有点儿 」の使い方についてまとめます。
- 有点儿 + 動詞・形容詞
- 話し手が主観的にマイナスだと思うことに使う
- 品詞は副詞である
- 比較の意味はない
まとめ
さて、“一点儿”と“有点儿”の違いについてまとめていきましょう。
一点儿 | 有点儿 | |
語順 | 動詞・形容詞 + 一点儿 | 有点儿 + 動詞・形容詞 |
核となる考え | 他と比較した結果の「少し」 | 主観的にマイナスな「少し」 |
主な品詞 | 数量詞 | 副詞 |
さて、今回は “一点儿”と“有点儿” の違いについて書かせていただきました。少しでも皆さんの中国語の勉強のお役に立てたら嬉しいです。
では、また次回!