中級文法“把”構文を解説
前回は「存現文」について学習しました。まだチェックしてない方はチェックしてください。
今回は“把”構文について詳しく解説していきます。HSK4級合格に必須な内容を網羅しておりますのでしっかりマスターしていきましょう!
“把”構文とは何か?
“把”構文とは、目的語に対して「どのようにして、どうなったか」を強調することできる文のことで、語順的には今まで英語と同じSVOだったものが日本語と同じSOVの形にもっていくことができます。例えば以下のようなイメージです。
これまでの中国語の基本語順(SVO)
→我(主)、放弃(動)、这次机会(目)。
訳:私は今回のチャンスを諦めた。
“把”構文を使った語順(SOV)
→我(主)、把这次机会(目)、放弃了(動)。
訳:私は今回のチャンスを諦めた。
※S=主語、V=動詞、O=目的語
上の例のようにこの“ 把 ”構文を使うと日本語と同じ語順にできる点が最大の魅力です。しかしながらどんな文でも“把”構文にしていいかと言ったらそうではなく、実は動詞自体をそのままの形で使うことはできず、動詞に何らかの結果を表す意味合いを加えたりする必要があります。その方法として次の5つの用法があります。
①動詞に補語をつける(結果・様態・方向補語)
②完了の「了」
③動詞を重ね型にする
④「動詞+目的語」の形にする
⑤持続の「着」をつける
それでは一つずつ見ていきましょう。また各項目の最初にそれぞれの過去記事のURLを載せておきますので、例えばもし結果補語について忘れていたり知識が曖昧な場合はURLをクリックして過去記事を確認し直してください。
①動詞に補語をつける(結果・様態・方向補語)
◎結果補語
→結果補語とは?
→結果補語 具体的な用法
◎様態補語
→様態補語
◎方向補語
→単純方向補語
→複合方向補語
まず最初は動詞に補語をつけるタイプです。補語は結果や様態、方向を表すものを動詞の直後につけることで動作に何らかの処置を付け加えることができるものでした。それぞれの補語とその例文をあげると次のようになります。
結果補語
→我把那本书看完了。
wǒ bǎ nà běn shū kàn wán le
訳:私はあの本を読み終わった。
様態補語
→他早就把台词背得很熟了。
tā zǎo jiù bǎ tái cí bèi de hěn shú le
訳:彼はとっくにセリフを十分暗記した。
方向補語
→我把推荐信带来。
wǒ bǎ tuī jiàn xìn dài lái
訳:私は推薦書を持ってきた。
②完了の「了」 をつける
復習はこちらをクリック
・「了」の用法を詳しく解説
処置の結果を加える方法の一つに「動作がすでに完了してしまった」と表現する方法があります。その時は動詞に動作の実現・完了を表す「了」をつけます。
・教授竟然把这次机会放弃了。
jiào shòu jìng rán bǎ zhè cì jī huì fàng qì le
訳:教授は何と今回のチャンスを諦めた。
・他们已经把灯熄了。
tā men yǐ jīng bǎ dēng xī le
訳:彼はすでに電灯のスイッチを切った。
③動詞を重ね型にする
復習はこちらをクリック
・動作の重ね型
動詞を重ねると「試しに~してみる、ちょっと~してみる」という意味が加わります。
・你们把环境污染的问题考虑考虑。
nǐ men bǎ huán jìng wū rǎn de wèn tí kǎo lǜ kǎo lǜ
訳:皆さん環境汚染問題をちょっと考えて見ましょう。
・你把学校的情况给大家介绍介绍。
nǐ bǎ xué xiào de qíng kuàng gěi dà jiā jiè shào jie shao
訳:学校の状況をみんなにちょっと紹介してみてください。
④「動詞+目的語」の形にする
“把”構文は普通の語順の文を書き替えて、目的語を前に持ってくる形と理解されがちです。しかし下の例のように、動詞部分に目的語を付け加えて処置の意味を強調することもあります。この例文は普通の語順に置き換えることができません。
・那只猴子把地上的香蕉皮扔进了垃圾桶。
nà zhī hóu zǐ bǎ dì shang de xiāng jiāo pí rēng jìn le lā jī tǒng
訳:あの猿は地面のバナナの皮をゴミ箱に捨てました。
・我把这个消息告诉了他。
wǒ bǎ zhè gè xiāo xi gào sù le tā
訳:今回のニュースを彼に伝えた。
最初の猿の文に関して解説しますと、まずここまで見てきた“把”構文に必要な要素がすでに二つ入っています。一つは「扔进=動+方向補語」、これによって動作に方向という処置を加えたことになります。またもう一つは「了」で、動作が完了したことも表しています。
そしてこの文で最も重要なのは目的語の「垃圾桶」です。これを加えることで、具体的に行った処置の内容が明確に説明されています。
このように“把”構文にすでに目的語が入っていますが、その後の文に「動詞+目的語」の形をさらに追加することで具体的に行った処置の内容が明確に説明されることができるのです。
また二重目的語をとることができる動詞(例えば、给=与える)などは、“”構文の文章を普通の二重目的語の語順に書き直すことが可能です。
→二重目的語についての復習はこちら(url:二重目的語)
・爸爸把那本参考书给我了。
→爸爸给我那本参考书了。
⑤持続の「着」をつける
動作の持続を示す「着」を動詞の後ろに着けることも、動作に処置を加えたことになります。持続の「着」についてはこちらで復習(url:進行と持続)
・他总是把门开着。
tā zǒng shì bǎ mén kāi zhe
訳:彼はいつもドアを開けたままにしておきます。
・我把护照带着。
wǒ bǎ hù zhào dài zhe
訳:私はパスポートを携帯している。
否定文・疑問文や助動詞
“把”構文の否定形は「把」の前に否定詞「没」などを置いて作ります。ただし条件の文などで「不」を使うこともあります。また「能」や「别」などの助動詞等も「把」の前に置きます。
・我还没把功课做完呢。
wǒ hái méi bǎ gōng kè zuò wán ne
訳:私はまだ宿題を終えてないです。
・你能把窗户关上吗?
nǐ néng bǎ chuāng hù guān shang ma
訳:窓をきちんと閉めましたか?
・你们别把衣服挂在这儿。
nǐ men bié bǎ yī fu guà zài zhèr
訳:あなたたちは服をここにかけちゃいけません。
疑問文は文末に「吗?」をつけるお決まりの奴と、正反疑問文があります。
「あなたは窓を閉めましたか?」
・你把窗户关了吗?
nǐ bǎ chuāng hù guān le ma
・你把没把窗户关了?
nǐ bǎ méi bǎ chuāng hù guān le
・你把窗户关了没有?
nǐ bǎ chuāng hù guān le méi you
さてここまで“把”構文について詳しく見てきました。この構文を使いこなすことで中国語らしい文がぐっと書けるようになってきます。しかし今回のキーワードで言うと「処置」でしたね。補語や了を使ってそれを表すルールに関してはしっかり理解しておきましょう。それではまた次回、ばいばい!