存在文と現象文
前回は「取り立てと強調」について学習しました。まだチェックしてない方はチェックしてください。
今回は少し概念が難しいですが「存在文」と「現象文」について見ていきましょう。タイトルの存現文とはこれら二つを合わせた言い方になります。
存在文
存在文とは「ある場所・時間に,人や物が存在している様子を述べる文」のことです。
日本語で「~が」にあたるものが,主語として文頭に立つのではなく,目的語として動詞の後ろに置かれる点が,この構文の大きな特徴です。この「人」や「物」にあたる成分は,意味的には不特定の成分なので,しばしば数量詞が置かれます。
これはどういうことかというと今までは「主語+動詞+目的語」の順番が基本でした。つまり次のような文です。
・一本书在桌子上。
yī běn shū zài zhuō zǐ shang
一冊の本が机の上にある。
しかし存在文はこの文の場所に当たる「机の上」が主語の位置に来て、「一冊の本」が目的語の位置に来ます。その文法公式は次のように表せます。
・場所/時間 + 動詞 + “着” + 人 / 物
“着”は「~している」という持続を表す表現として過去記事で習いましたね。この場合は「その場所に人や物が~している」といった感じで訳せます。例文を3つ確認しましょう。
・门口摆着几把椅子。
mén kǒu bǎi zhe jǐ bǎ yǐ zi
ドアのところに椅子がいくつか並んでいる。
・墙上挂着一幅国画。
qiáng shang guà zhe yī fu guó huà
壁に一つの中国画がかかっている。
・床上躺着一个病人。
chuáng shang tǎng zhe yī ge bìng rén
ベットに一人病人が横たわっている。
どうですか?場所に「動詞+着」がついているという不思議な表現ですよね。しかしながらあくまで主語の位置にあるだけで主語は後ろの人や物になりますので注意してください。
実はこの構文は,同じく存在を表す“有”構文と同じ仲間です。同じ語順になります。“有”がただ「ある」という存在を述べているのに対して,この構文の<動詞+“着”>の場合は,その存在のあり方を具体的に述べる表現です。 例を確認してみましょう。
・墙上有一张地图。
qiáng shang yǒu yì zhāng dì tú
→ただ単純に壁に地図が「ある」だけ
・墙上贴着一张地图。
qiáng shang tiē zhe yì zhāng dì tú
→壁に「貼ってある」と具体的になる
・墙上挂着一张地图。
qiáng shàng guà zhe yì zhāng dì tú
→壁に「かかっている」と具体的になる
現象文
ある場所・時間において,何かが出現したり消失したりする現象を表す文を「現象文」と言います。 この構文も存在文と同様に,「~が」にあたる成分が主語ではなく目的語になっている点に特徴があります。その「~が」にあたる成分は意味上は不特定の成分で,多くの場合数量詞を伴います。また,動詞の部分ははだかの動詞ではなく,結果補語や方向補語,もしくは“了” をつけます。
そして上に書いた通り以下の二つのパターンがあります。
①出現を表す
②消失を表す
そして語順を表す文法公式は次のようになります。
・場所 + 動詞+(結果補語/方向補語)+(“了”)+“人・物”【不定のもの】
これは結果補語や方向補語の概念とつながるのですが動詞それ単体では動作のその後、要はこの場合「動詞の結果→出現or消失」を表すことはできません。動詞に補語や、実現を表す“了”を用いて出現・消失を表すことができるのです。それでは例文を確認していきましょう。
①出現を表す
・我们班最近来了一个留学生。
wǒ mén bān zuì jìn lái le yī ge liú xué shēng
私たちのクラスに最近留学生がひとり来た。
・大路上走过来两个人。
dà lù shang zǒu guò lái liǎng ge rén
大通りを二人の人が歩いて来た。
・天上出现了黑云。
tiān shang chū xiàn le hēi yún
空に雨雲が現れた。
②消失を表す
・树上掉下来很多苹果。
shù shang diào xia lái hěn duō píng guǒ
木からたくさんリンゴが落ちてきた。
→元々木の上にあったものが下に落ちてきて、その場(木の上)から消失したという解釈。
・我们楼里搬走了一家人。
wǒ men lóu li bān zǒu le yī jiā rén
私たちの棟から1軒引っ越していった。
・邻居家死了一只猫。
lín jū jiā sǐ le yī zhī māo
隣で猫が1匹死んだ。
さて今回は「存在文・現象文」について確認しました。 場所が主語の位置に来てその直後に動詞が来るのはなかなか新鮮ですね。文法公式と例文を何度も確認してマスターしていきましょう。それではまた!