全ての文に「是」を使うわけじゃない
前回は中国語の「こそあど言葉」である指示代名詞について学習しました。
まだチェックしてない方はチェックしてください。
今回は「名詞述語文」について学習します。名詞述語文とは名詞がそのまま述語となる文のことです。
実は学習者の多くは「是」を日本語の「~は~である」と解釈してしまいます。これは間違いではないですが、この「是」を使わない文が存在します。
そんな名詞述語文について見ていきましょう。
名詞述語文
まず名詞述語文とは名詞がそのまま述語になる文のことです。
例えば以下の「 是 」を使った文の場合述語は「 是 」になります。
・我们是大学生。
wǒ men shì dà xué shēng
私たちは大学生です。
しかしながら文によっては実は「 是 」を使わずに日本語の「~は~です」に当たる文を作ることができます。それが名詞述語文です。
例えば以下の3つのような文がそれにあたります。まずは例文で確認しましょう。
・今天星期三。
jīn tiān xīng qī sān
今日は水曜日です。
・我哥哥二十岁。
wǒ gē ge èr shí suì
私の兄は20歳です。
・我上海人。
wǒ shàng hǎi rén
私は上海人です。
上記の例文から「 是 」を入れなくてもいいことが確認できましたか?
それではこの名詞述語文を作ることができる条件を見ていきましょう。
時刻

まず最初は時刻に関する文です。「今何時何分?」や「今何時何分前です」という文がこれに当たります。
例文で確認しましょう。
・现在几点?—— 现在晚上十一点半。
xiàn zài jǐ diǎn xiàn zài wǎn shàng shí yī diǎn bàn
今何時ですか?―今夜の11時半です。
・现在差十分八点。
xiàn zài chà shí fēn bā diǎn
今8時10分前です。
※便利なので 「~時~分間」という 「差~分~点」の書き方も覚えておきましょう。
日付

「今日は水曜日です」「明日は10月15日です」といった日付も名詞述語文で書けます。
・明天几月几号?——明天12月29号。
míng tiān jǐ yuè jǐ hào míng tiān shí èr yuè èr shí jiǔ hào
明日は何月何日ですか?-明日は12月29日である。
・今天星期五。
jīn tiān xīng qī wǔ
今日は金曜日です。
※日本語の「日」という日付を表す字は中国語では「 号 」と書きます。「日」という字も使えますが書面語になります。また「 天 」という字は何日を表すときは使えないので注意してください。あくまで「今日=今天」や「日曜日=星期天」「次の日=第二天」を表すときに使います。
年齢

年齢を表すときも名詞述語文です。
ただし、「今年何歳になった」など変化を表すときは「~了」をつけますので注意してください。
・我妹妹十五岁。
wǒ mèi mei shí wǔ suì
私の妹は15歳です。
・我妹妹十五岁了。
wǒ mèi mei shí wǔ suì le
私の妹は15歳になった。→14歳から15歳になった変化を表す「了」
・你今年多大了?——我今年二十岁。
nǐ jīn nián duō dà le wǒ jīn nián èr shí suì
あなたは今年何歳ですか?-私は今年20歳です。
・你孩子几岁了?——她三岁了。
nǐ hái zǐ jǐ suì le tā sān suì le
あなたの子供は何歳になったの?-三歳になりました。
相手の年齢を聞くときは「多大了」「几岁了」と「了」を含めたこの二つの書き方が一般的です。違いは量詞のページで解説してますが、ここでもまとめておきます。
・多大了 →全年齢対応
・几岁了 →基本的には0~9歳にまでの一桁数字に使う。これを大人に使うと子ども扱いしている感じが強くなる。
値段

値段についてもここでまとめておきましょう。
まずそもそも人民元と呼ばれていることから「元」が単位ではないか?と思うのですが実は口語と書き言葉では単位を表す単語は違います。
書き;~元~角~分
yuán jiǎo fēn
口語;~块~毛~分
kuài máo fēn
分は共通ですが最初二つの単位が違いますね。書き言葉の元のほうで言っても通じますが一般には「 ~块~毛~分 」のほうが使われますので注意しましょう。
もっとも最近の中国ではキャッシュレスが一般的で「微信支付,支付宝」によってあまりこうした単位をいちいち気にしなくてもよくなりましたが・・・w
値段を聞くときは「多少钱?」です。さて、これを含めた例文を2つ見ていきましょう。
・你昨天买的那件衣服多少钱?
nǐ zuó tiān mǎi de nà jiàn yī fu duō shǎo qián
君が昨日買ったあの服いくら?
・五十块一件
wǔ shí kuài yī jiàn
一着50元だよ。
・苹果多少钱一个?
píng guǒ duō shǎo qián yī ge
リンゴ一個いくらですか?
・三块一个
sān kuài yī ge
一個三元よ。
気づいた方もいると思いますが量詞を入れるときは値段の後ろに置くのが普通です。
天候・出生地

これは意外な使い方かもしれません。「今日は晴れです」や「私は北京出身です」なども名詞述語文で言えます。
・今天阴天。
jīn tiān yīn tiān
今日は曇りです。
・你哪儿人?——我上海人。
nǐ nǎr rén wǒ shàng hǎi rén
どこの方ですか?-上海です。
否定表現

否定になると名詞述語文でも「 是 」が復活し、「不是」の形で使います。
・这本书不是20块,它10块。
zhè běn shū bú shì èr shí kuài tā shí kuài
この本は20元じゃなくて、それは10元です。
・今天不是星期三,今天星期四吧。
jīn tiān bú shì xīng qī sān jīn tiān xīng qī sì ba
今日は水曜日じゃなくて、木曜日でしょう。
「 是 」を入れても良い

ここまで書いておいてあれですが、実は「 是 」を入れてもかまわないという意見がありますw
「おい!じゃあ、名詞述語文なんか難しいこと言わなくていいじゃないか!」と思うかもしれませんが、実はネイティブでも意見が分かれる問題なのです。
例えば、以下の文はどちらも言えます。
①明天几月几号?
míng tiān jǐ yuè jǐ hào
②明天是几月几号?
míng tiān shì jǐ yuè jǐ hào
「おいおい」となりますが実は文の構造は違うのでその点は認識しておきましょう。
①は「 几月几号 =何月何日」は述語ですが、②では「 几月几号 」は目的語で、述語は「 是 」です。
なので②は実質名詞述語文ではなく動詞述語文になります。
寛容なのかルールがあるのか難しい文法ですね。
ただ、初級段階では知識として知っておきましょう。「 是 」を入れたとしても間違いとは言えないので口語ではそれほど神経質にならなくてもよいでしょう。
まとめ
- 名詞述語文とは名詞がそのまま述語となり、そこに「 是 」は入れなくともよい
- 時刻・日付・年齢・値段・天候・出生地に主に使う
- 否定の時は「不是と「 是 」が復活
- 実は「 是 」を入れても問題ない。