第二言語で第三言語を学ぶとはどういうことか


今回はアンサー記事です



先日フォロワーさんからこんな質問をいただきました。

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第二言語で第三言語を学ぶ(例えば日本人が中国語を使って韓国語を学ぶ)ことについての、Shuさんの見解を知りたいです。


なるほどなかなか面白い質問だなと思ったので今回はこの質問に沿って記事を書きたいと思います。

当然ですが、これを読んでくださってる方のほとんどは日本人だと思うので日本語が母語です。何か新しいことを学ぶとき私たちは日本語を使って情報を脳に入れます。当然、英語を学ぶ時も中国語を学ぶ時も多くの人は日本語を使って学習します。

しかし中には「英語を使って中国語を勉強する」「中国語を使って韓国語を勉強する」といった学習法をとる方がいらっしゃいます。

これは果たして本当に効果的なのでしょうか?

さらに、こういった学習法、すなわち第二言語で第三言語を学ぶ際に注意すべきことはどんなものがあるのか、私なりの見解を述べさせていただきます。

注意;この記事ではあくまで次のような学習者を想定しています。

✅純日本人

✅日本の義務教育に沿って英語を学び、大学受験のための英語がメインであった人

✅第二言語のレベルが2級レベルかそれ以下である


ですから、ハーフや外国での暮らしが長く既にペラペラな方には当てはまらないことがあると思います。誤解のないようにお願いします。

第二言語で第三言語を学ぶ?



言語学的には「母語の次に学ぶ言語はいくつあろうと第二言語と呼ばれます」が、この記事では学習開始順序に沿って第二言語、第三言語、第四言語・・・と呼ぶことにします。

例えば、ほとんどの方にとって英語は第二言語であり、大学などから新しく始めた中国語などの言語はこの場合第三言語とします。

ここでは私自身を例にとって話を進めることとします。

私にとって、英語は第二言語であり、中国語は第三言語です。ですから、質問者様の問通りに言えば、私が第二言語を使って第三言語を学ぶ際は「英語で中国語を学ぶ」と言えます。

この場合、こういった勉強法はどういった見方ができるのか見ていきましょう。

結論から言うと、こうした学習は非効率的であり、第二言語のネイティブ感覚を取得してない人間は第二言語で第三言語を学ぶべきではありません。また言語同士の特性にも強く依存します。



さてこの意見を細かく見ていきましょう。毎回私の記事では前書きとして、「言語学習は本当に人によって効果もレベルも上達のスピードも違いますので、あくまで一つの参考として読んでくださいね。」と言っていますが、ご自身の今置かれている言語レベルと照らし合わせてお読み下さい。

第二言語のレベルを分析しよう


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あなたの第二言語のレベルはどのぐらいですか?


よくこういった質問をされると、次のような返答をよく聞きます。

✔️日常会話程度

✔️簡単な通訳ができる程度

✔️英検2級程度



などなど、概ね中級レベルだと返答されます。

もちろん日本人ならではの謙虚さという国民性のせいで「自分は上級です!」と言えない人も多いので実際にその人のレベルは聞いてみないとわからないのですが、ここでは中級としておきましょう。

まずはっきりと言いましょう。

中級程度では脳内占有率においてまだまだ日本語が優位です。要は真の意味で「英語を英語で考える」ことができないレベルが中級です。
(url:脳内占有率とは何か)

練習を積み重ね、英語を英語で考えようと努力し、階段を登っていく。そして上級への仲間入りを目指す、そんなレベルが中級ですね。画像イメージでは以下の通りです。


初級・中級】レベルでは以下のような流れを辿って英語を発します。

①英語を認識する(インプット)

②一度日本語に変換して理解する(脳内変換)

③自分が言いたいことを一旦日本語で考え、その後英語に変換する

④変換した英語をアウトプットする


実は、この流れが速い方もぺらぺらに見えてしまうのが今回の話の難しいところです。要は①〜④の流れをかなりはやくできる方がいます。

しかし注意しなくてはいけないのは中級では未だに「日本語」を介している点です。上級では②と③に日本語は入ってきませんので、次にようになります。

上級】

①英語を認識する

②日本語に変換せず、英語で理解し、次に発することを英語で整理する

③英語で考えるため、初級・中級よりも速くアウトプットする



さて、とりあえずここまで読んで皆さんはどちらの「流れ」を辿って第二言語を発していますか?

私の意見では、たとえ英検準一級に合格していたり、TOEIC900点でも、ほとんどの方が中級段階だと思います。人によっては留学に行った経験がある方でも実は【初級・中級】の一連の流れが「慣れ」によって速くなっただけで、日本語を介している方もいるでしょう。

もちろん人によってはこれに当てはまらない方もいるでしょうし、「自分は日本語を介してない!」という方もいるでしょう。ここではあくまで自己分析をしていただいて、「日本語を少しでも介しているなあ」と思った方は読み進めてください。

このような日本語の脳内占有が多い段階では、第二言語で第三言語を学ぶことは非効率的です。というのも必ず「日本語」を介してしまうため、脳内作業のプロセスが単純に一つ増えるのです。


例えば英語を英語で考えられる人は英語で中国語を学ぶとき、

英語⇒中国語

とプロセスを踏めます。単純に考えて2段階ですね。これが日本語を介入してしまう人はどうでしょうか?

英語⇒日本語⇒中国語

プロセスが3段階に増えちゃいましたね。細かくいうとこんな単純ではないかもしれませんが、日本語介入をするとプロセスが一つ増えることはご理解いただけると思います。これなら最初から日本語から入ったほうが

日本語⇒中国語

とプロセスが2段階ですみますね。わざわざ第二言語を介す必要性がないわけです。

とりあえずここまでが第二言語を第三言語で学ぶことへの私の意見になります。まとめます。

【私の意見】:第二言語の習得レベルが中途半端(ここでは日本語を介入させてしまう)な場合、無理やり第二言語で第三言語を学ぼうとすると、結局は日本語を介してしまうため脳内処理のプロセスが一つ増えてしまう⇒結果、非効率的かつ場合によっては理解が深まらないこともあるので注意です。


言語特性を理解する



先ほどはご自身の第二言語のレベルに言及しましたが、今度は言語自体の特徴に触れて見ましょう。皆さんはこんな話を聞いたことがありませんか?

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韓国語は日本語とすごく似てるから、日本人にとっては簡単な学びやすい言語なんだよ。



これには私も100%同意です。韓国語を学んだことのある私も日本語と韓国語には共通点が多いことも知っており、例えば以下のようなものがそれです。

✅語順がほぼ同じ(ゆえにGoogle翻訳の成功率が高い)。

✅統語論的に分類した際、同じ膠着語に属するため、助詞が存在する。日本語にも「て、に、を、は」などの助詞が存在するため感覚をつかみやすい。

✅韓国語も中国の漢字の影響を受けてる語があるため、日本語の音読みが韓国語の漢字読みに似ていることがあり覚えやすい。



つまり韓国語を学ぶ際は兄弟言語の日本語から学んだほうが効率的なんですね。無理やり背伸びして英語で韓国語を学ぼうとされる方がたまにいらっしゃいますが、個人的にはあまりお勧めできません。

しかし今度は、ではスペイン語を学ぶときはどうでしょうか?もちろん先ほどの話と組み合わせて考えれば日本語から入ったほうがいいですが、ここでは英語が得意な方を想像してみましょう。

スペイン語も英語も同じヨーロッパ言語です。統語論的に考えると「屈折語」に入り、屈折語の特徴は「活用」があることです。文法的には学習を進めれば進めるほど異なる点が多いことにも気づきますが、それでも似ている点も多いです。簡単に似ている点をあげるとすれば以下のようなものがそれです。

✅基本的には同じアルファベット型言語である

✅ 読み方が異なるが、似ている単語が多いinterestingとinteresant(興味深い)、continueとcontinuar(続ける) 。そのため覚えやすい単語が多い。

✅品詞の並べ方や時制の概念が近い



英語がかなり得意な方なら、日本語⇒スペイン語よりも、英語⇒スペイン語のプロセスでたどった方がもしかしたら効率的かもしれません。

現に例えば、私の友人でカナダ留学経験がある方がいます。彼は英語を英語で考えることができ、日常会話でも周りに帰国子女・ネイティブが多いため英語を使用してるような方です。彼にとっては英語のほうが楽なため、英語でスペイン語を学ぶ方が効率が良いのです。

このように言語特性とご自身の第二言語のレベルを加味して学習に入ることができれば、時には母語の、時には第二言語の特徴的恩恵を最大限に活用することができるでしょう。ぜひ次のような比較をしてみて、自分に有利な方を選んでみてください。

チェックリスト

①母語&第三言語

②第二言語&第三言語

第三言語を学習する際はぜひ、母語のほうが特性が近いのか、第二言語のほうが近いのか分析してみてください。もちろんできるのであれば、両方使ってもいいかもしれません。


一石二鳥でしょ?


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でも、英語で中国語を学べば英語も学習できるし、中国語も学習できて一石二鳥でしょ?



こういう方がいらっしゃいます。しかし、本当に一石二鳥でしょうか?
ここからは私個人の意見が少し強くなります。鵜呑みにするのではなく、あくまで参考の一つとしてしてください。

脳内占有率とコンセントレーションの記事でも書きましたが、言語学習に関して重要なのは「その学習言語でどれだけ脳内を満たせるか、そしてどれだけその言語に集中できるか」です。

その言語に神経を傾けられないと上達は単純に遅れますし、もちろん「好きでやってる」なら話は別ですが、「速くその言語を話せるようになりたい」のならやはり一つの言語に集中するのが得策でしょう。

大事なのは、脳内占有率とコンセントレーションです。そのためには一つの言語になるべく集中すべきです。

ですから、なるべく三言語かそれ以上を介在させないほうがいいと思います。日本語から学ぶなら日本語で、英語で学ぶなら英語で学びましょう。

要は『日本人で、英語レベルがあまり高くないのに無理して英語で書かれた参考書を使って中国語を学習する際などは十分注意してください。』ということです。

注釈:比較検討をする場合は何言語を使ってもいいでしょう。例えば、英語と中国語のSVO構造が似てるから、基本文法は英語と中国語を比較してみようかな。といったことは有効です。


最後に


語学の勉強は本当に無限大です。当然私と異なる意見を持って、第二言語で第三言語を積極的に学ばれる方もいるでしょう。

しかし今回書いたように母語でない言語で何かを学ぶときは必ず注意が必要です。特に、第三言語を学ぶ際は、母語と第二言語、どちらがよりメリットが大きいのかをしっかり吟味するようにしてください。

それでは今回はこの辺で、バイバイ

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