中国語における難所の一つ
前回は「時間に関する便利な表現」としていくつか非常によく使える表現を紹介させていただきました。
まだチェックしてない方はチェックしてください。
さて今回から初級を抜け出して中級文法へと進みましょう。ここからはかなり難しくなりますので覚悟してくださいね!冗談はさておいて「結果補語」という概念について今回は詳しく見ていきましょう。
また結果補語は少し長くなるので2回に分けて解説します。今回は前半部分で「結果補語とは何か?」ということをメインにやっていきましょう。次回記事の後半では「具体的な結果補語の使い方」を学んでいきましょう。
結果補語とは何か
始めに、“補語”とは何かということについて触れましょう。
補語は基本的に動詞につき、その動詞の「結果・様態・方向」などを追加情報として加えていく働きがあります。動詞や形容詞が基本的には補語になります。
結果補語は、実は日本語にも同じような表現があり、例えば次のようなものがあります。
・書き間違える→書いたら、結果「間違ってしまった」
・売り切れる→売ったら、結果「無くなってしまった」
こうした表現が中国語では結果補語として表されるのです。
簡単な単語をいくつか見て見ましょう。
<中国語> | <日本語> | <結果補語> |
写错 xiě cuò |
書き間違える | 错 cuò |
卖完 mài wán |
売り切れる | 完 wán |
吃腻 chī nì |
食べ飽きる | 腻 nì |
学会 xué huì |
マスターする | 会 huì |
做好 zuò hǎo |
でき終わる | 好 hǎo |
上のように「動詞+結果補語」という形で表します。
日本語と違う点
先ほどの例はすべて日本語と対応させても違和感がありませんでしたが次のような例は日本語と中国語で違いが生じます。
①喝醉→酔っぱらう
hē zuì
②收拾干净→綺麗に片付ける
shōu shi gān jìng
日本語に訳してみて何か気づきましたか?
まず①は「飲む+酔っぱらう」という構造をしてますが、日本語では後半の“酔っぱらう”の部分しか訳しません。わざわざ「飲んだ結果酔っぱらう」という人はいないと思います。
②は「片づけた+綺麗になる」という構造ですが、日本語では逆に訳し「綺麗に片付ける」となりますね。
このように補語の中には日本語と中国語で異なる点があることもあるので注意が必要です。
なぜ結果補語??
日本語と比べて中国語ではこの“結果補語”が非常によく使われます。これは日本語と中国語の文法構造の違いにあります。
まず日本語で見ていきましょう。次の例文を見てください。
・車を運転するときは安全のためシートベルトを締めてください。
下線部の部分に注目してください。日本語では「締める」という単語は、「締める」という動作と、締めた後に「しっかり締め切った」という結果の状態も表します。
左は「シートベルトを締める」右も「シートベルトを締める」と同じ表現が可能です。
しかしながら中国語の動詞単体では「シートベルトを締めた後の締め切ったという結果」を表す用法は無く動作の進行状況までしか表せません。
例えば上の例で言うと次の例文は不適切です。
・开车的时候,请你系安全带。
kāi chē de shí hòu qǐng nǐ jì ān quán dài
車を運転するときは、シートベルトを締めてください。
この部分で締めるは「系」シートベルトは「安全带」ですが、この文は正しくはありません。理由は結果補語が入っておらず、シートベルトを締めているという進行状況で意味が止まってしまい、本来の要求「シートベルトをしっかり締めろ」という目的に達してないからです。
今回では「~しきる、~しっかり…する」といった意味を付け加える「好」をつけて以下のように表します。
・ 请你系好安全带 。
qǐng nǐ jì hǎo ān quán dài
これならシートベルトを締めようとして「締め切った」という結果まで表すことができました。
このように中国語の動詞は動作の最終的な結果まで表さない単語が非常に多いため、この「結果補語」が多用されるのです。
結果補語の用法
「動詞+結果補語」は1語の複合動詞のように扱われ、後ろに目的語を伴うこともあります。また、結果補語はその名前の通り「結果」を表しているため、すでに実現済みという意味が生じ、後ろに「了」をつけることがほとんどです。
→動作の実現・完了については過去記事を参照してください。
ただし文中に過去や具体的な時間詞がある場合は「実現した」という意味合いがすでに含まれているので、こうした場合は「了」を省略することがあります。
・我坐错了地铁,所以来晚了。
wǒ zuò cuò le dì tiě suǒ yǐ lái wǎn le
地下鉄に乗り間違えて、遅れてしまった。
→「坐=座った」ら結果「错=間違った」。
→「来=来た」結果「晚=遅くなった」。
・你们做完了作业吗?
nǐ men zuò wán le zuò yè ma
君たち宿題は終わったんかい?
→「做=やる」結果「完=終わった」
・他们已经学会开车了。
tā men yǐ jīng xué huì kāi chē le
彼らはすでに運転をマスターした。
→「学=学んだ」結果「会=できるようになった、マスターした」
以下のような「命令・依頼」表現の場合は、これからやってもらうことを表すので「実現の了」はつけません。
・请把书架上的书摆整齐。
qǐng bǎ shū jià shàng de shū bǎi zhěng qí
本棚の本をきれいに並べてください。
→「摆=並べた」結果「整齐=きちんとする」
疑問形・否定形
疑問文は基本的に文末に「吗?」をつければOKです。
否定形は基本的には「没」を使って表しますが、条件を表すときは「不」を使うときもあります。
・午饭还没做好呢。
wǔ fàn hái méi zuò hǎo ne
昼ご飯はまだできてないわよ。
・我没想到会发生这种事情。
wǒ méi xiǎng dào huì fā shēng zhè zhǒng shì qíng
こんなことが起きるとは思いもよりませんでした。
注意:この場合「 没 」 は意味上はあくまでも結果補語の実現を否定しているのであって,動詞自体を否定しているのではないので注意が必要です。上記例では,「昼ご飯を作り終わってない」と言っているのであって,「做——作る」ことは作っているわけです。
・你不写清楚,我们怎么看?
nǐ bù xiě qīng chǔ wǒ men zěn me kàn
あなたがはっきりと書いてくれなければ,どうやって読めばいいのですか。
・不处理完库存,就无法进货。
bù chǔ lǐ wán kù cún jiù wú fǎ jìn huò
在庫を処分しないと入荷できません。
さて今回は「結果補語の概要」について確認していきました。
次回は具体的な結果補語に使う単語を紹介していきますので今回の前半記事と一緒に合わせてお読みください。
それではまた次回!